税理士に支払う報酬相場は?報酬が決まる要素と考え方も解説

2021/5/22

2021/06/19

税理士に支払う報酬相場はどれくらいでしょうか。相続や決算書作成など、税理士に依頼できることはたくさんあります。依頼の内容や頻度、税理士事務所の規模によっても、報酬は変わります。
今回は、税理士に支払う報酬相場と、報酬が決まる要素と考え方について解説します。

税理士の報酬一覧・料金表

税理士の報酬のほとんどは、人件費です。つまり、税理士が働く分だけ、支払わなければならない報酬は高くなります。相続や事業などで税理士に依頼する取引額・回数が多ければ、それだけ報酬として支払う額も増えるということです。

税理士報酬と税理士報酬規定の関係

税理士報酬規定とは、税理士報酬の最高限度額を税理士会が規定したもので、税理士法改正に伴い、平成1441日より廃止されました。

かつて税理士に支払う報酬は、この「税理士報酬規定」で定められていましたが、法改正で以降、税理士報酬を自由に決められるようになり、基本的には税理士事務所ごとに料金が設定されています。

しかし、現在でも税理士報酬規定をベースに考えている税理士は多いため、税理士報酬規定を参考に、報酬の一覧を作成しています。

  • 個人の報酬相場(相続税・贈与税)
  • 個人事業主の報酬相場:顧問料・確定申告
  • 法人の報酬相場:顧問料・決算書 

個人の報酬相場(相続税・贈与税)

事業を行わない個人が税理士に依頼する内容は、主に相続・贈与の手続きです。税務書類の作成・税務書類の提出(税務代理)で依頼できます。 

相続税の報酬

相続が発生した場合は、10か月以内に申告しなければなりません。税理士への報酬は次の表を参考にしてみてください。

[遺産の総額]

税務書類作成の報酬

税務書類提出の報酬

5,000万円未満

¥ 150,000

¥ 300,000

7,000万円 未満

¥ 225,000

¥ 450,000

1億円 未満

¥ 350,000

¥ 700,000

3億円 未満

¥ 475,000

¥ 950,000

5億円 未満

¥ 600,000

¥ 1,200,000

7億円 未満

¥ 725,000

¥ 1,450,000

10億円 未満

¥ 900,000

¥ 1,800,000

10億円以上

¥ 950,000

1億円増すごとに¥ 50,000

¥ 1,900,000

1億円増すごとに¥ 100,000

贈与税の報酬

贈与税は、贈与(お金や金品などを無償でもらうこと)を受けた人が税務署に申告します。税理士への報酬は次の表を参考にしてみてください。

[贈与の総額]

税務書類作成の報酬

税務書類提出の報酬

100万円未満

 ¥ 10,500

¥ 35,000

300万円 未満

 ¥ 18,000

¥ 60,000

500万円 未満

 ¥ 30,000

¥ 100,000

1,000万円 未満

 ¥ 36,000

¥ 120,000

2,000万円 未満

 ¥ 45,000

¥ 150,000

3,000万円 未満

 ¥ 54,000

¥ 180,000

5,000万円 未満

 ¥ 75,000

¥ 250,000

5,000万円以上

 ¥ 84,000

1千万円増すごとに¥ 9,000

¥ 280,000

1千万円増すごとに¥ 30,000

個人事業主の報酬相場:顧問料・確定申告

個人事業主の税理士へ依頼内容は、主に顧問料・確定申告書の作成・確定申告書の提出(税務代理)です。すべてを契約する方もいれば、記帳代行は自分でし、確定申告のみ依頼するなど一部を依頼する方もいます。

顧問料には、確定申告書の提出(税務代理)、所得税・住民税に関する相談を含みます。確定申告書などの書類作成に関する報酬は別です。 

確定申告書類の作成は、作成する税務書類ごとに費用が異なります。今回の表は、所得税・住民税の書類を作成した場合の報酬の目安を記載しています。

確定申告書類の提出(税務代理)は、月額での顧問料を支払っていない場合に、確定申告などをスポットで依頼するときの料金です。税務代理も提出する書類ごとに費用が異なります。今回の表は、所得税・住民税の書類を提出した場合の報酬の目安を記載しています。

事業規模が大きくなればなるほど、税理士の報酬は高くなります。その基準が「総所得金額」と「取引金額」です。

総所得金額とは1年間で得た利益の合計です。総所得金額基準とは「どれくらいの利益を得られているのか」という基準です。

厳密な定義はこちらをご参照ください。

総所得金額等|国税庁

年取引金額とは1年間の売上金額の合計と考えるとよいでしょう。取引額基準とは「事業をする上でどれくらいのお金が動いているのか」という基準です。

税理士に依頼する際、事業の所得や取引額が多ければ、それだけ報酬として支払う額も増えます。

[総所得金額基準]

 [年取引金額基準]

顧問

確定申告書類作成

 

確定申告書類の提出

200万円未満

2,000万円未満

22,000

23,400

78,000

300万円未満

3,000万円未満

33,000

29,250

97,500

500万円未満

5,000万円未満

49,500

39,000

130,000

1,000万円未満

1億円未満

71,500

66,300

221,000

2,000万円未満

2億円未満

82,500

99,450

331,500

3,000万円未満

3億円未満

93,500

117,000

390,000

5,000万円未満

5億円未満

104,500

156,000

520,000

5,000万円以上

5億円以上

115,500

175,500

585,000

1千万円増すごとに

1億円増すごとに

5,500円を加算

9,750円を加算

32,500円を加算

法人の報酬相場:顧問料・決算書

法人が税理士に依頼する内容は、主に顧問料・決算書の作成・決算書の提出(税務代理)です。すべてを契約するケースもあれば、記帳代行は経理で行い、決算申告のみ依頼するなど一部を依頼するケースもあります。

顧問料には、決算書の提出(税務代理)、法人税・事業税に関する相談を含みます。決算書などの書類作成に関する報酬は別です。

決算書の作成は、作成する書類ごとに費用が異なります。今回の表は、法人税・事業税の書類を作成した場合の報酬の目安を記載しています。

決算書の提出(税務代理)は、月額での顧問料を支払っていない場合に、決算などをスポットで依頼するときの料金です。税務代理も提出する書類ごとに費用が異なります。今回の表は、法人税・事業税の書類を提出した場合の報酬の目安を記載しています。

事業規模が大きくなればなるほど、税理士の報酬は高くなります。事業規模の大きさの基準が総所得金額と取引金額です。

総所得金額とは1年間で得た利益の合計です。総所得基準とは「どれくらいの利益を得られているのか」という視点で事業規模の大きさを考えるための基準です。

厳密な定義はこちらをご参照ください。

総所得金額等|国税庁

年取引金額とは1年間の売上金額の合計です。年取引金額とは「事業をする上でどれくらいのお金が動いているのか」という視点で事業規模の大きさを考えるための基準です。

税理士に依頼する際、事業の所得や取引額が多ければ、それだけ報酬として支払う額も増えます。

[所得金額基準]

[年取引金額基準]

顧問

確定申告書類作成

 

確定申告書類の提出

100万円未満

2,000万円未満

¥ 33,000

¥ 35,400

¥ 78,000

150万円 未満

3,000万円 未満

¥ 38,500

¥ 47,200

¥ 104,000

200万円 未満

5,000万円 未満

¥ 55,000

¥ 59,000

¥ 130,000

400万円 未満

1億円 未満

¥ 77,000

¥ 100,300

¥ 221,000

1,200万円 未満

3億円 未満

¥ 93,500

¥ 177,000

¥ 390,000

2,000万円 未満

5億円 未満

¥ 110,000

¥ 236,000

¥ 520,000

4,000万円 未満

10億円 未満

¥ 143,000

¥ 324,500

¥ 715,000

1.2億円 未満

30億円 未満

¥ 176,000

¥ 413,000

¥ 910,000

2億円 未満

50億円 未満

¥ 209,000

¥ 472,000

¥ 1,040,000

2億円以上

50億円以上

¥ 242,000

¥ 531,000

¥ 1,170,000

1億円増すごとに

25億円増すごとに

¥ 33,000

¥ 59,000

¥ 130,000

税理士報酬が決まる要素と考え方

税理士の報酬が決まる要素は次の3点です。

報酬が決まる要素1 依頼内容・頻度

報酬が決まる要素の1つめは、依頼内容と頻度です。依頼内容は、「属性(法人・個人事業主・個人)」、「相談する税の種類」「依頼内容(全部・一部)」を軸に相談する必要があります

 属性や税の種類によって、税理士側の工数が変わるため、支払うべき報酬も変わります。この2点に関しては税理士に依頼する前に整理しておきましょう。

 なお、税理士に依頼できる主な業務は、次の通りです。

  • 税金・資金繰りに関する相談(顧問)
  • 税金に関する資料の作成
  • 税金に関する資料の提出
  • 日々のお金の流れを記入(記帳代行)
  • 税務調査への立ち会い

依頼する業務の種類だけでなく、頻度も報酬に影響します。例えば、面談の回数によって料金を変えている事務所も少なくありません。面談は対面やオンライン対応など、どのようにできるかも確認することをおすすめします。

自分でどの程度のことをしようと思っているのかを税理士に伝えて、報酬がどのように変化するのか相談すると、具体的にすり合わせをすることができます。

例えば、「記帳代行は自分でしようと思っている」、「会計ソフトを利用してある程度自分で確定申告書類は作成するが、最後にチェックだけはしてほしい」などです。

報酬が決まる要素2 年間の取引額

報酬が決まる要素の2つめは、年間の取引額です。年間の取引額が大きければそれだけ税理士の業務は増え、支払うべき報酬もそれだけ高くなります。

記帳代行は取引量によって別料金の設定にしている事務所もあるため、どれくらいの取引額だと報酬が変わるかも確認するとよいでしょう。

報酬が決まる要素3 業界・地域

報酬が決まる要素の3つめは、業界・地域です。

事業を取り扱う場合は、業界によっても相場が変わります。例えば、医療業界は社会保険も含めてお金の流れを確認する必要があります。その分他の業界よりも手続きが多くなる分報酬も高くなります。そのため、税理士に相談する際は、自分の業界も伝える必要があります。

全国的に対応している事務所もありますが、地域に根ざした事務所も多いです。地域ごとに相場が変わるため、自分の地域で比較することもおすすめです。

一般的に、税理士の事務所が多い都市部だと価格競争が起こるために費用相場は安くなります。逆に競争の少ない地方では報酬が高くなる傾向があります。

最近では、オンラインで完結する事務所も出てきているため、オンライン対応のみで良い場合は全国で探すこともできます。

報酬で決めるとトラブルに?税理士の選び方

後悔しない税理士の選び方をご紹介します。ここまで報酬について解説してきましたが、税理士を選ぶときに報酬のみを軸で決めるとトラブルになるケースもあるため、注意が必要です。税理士を選ぶときは次の2つのポイントも合わせて考慮しましょう。

ポイント①実績

税理士の実績を判断する際に、どのような税務知識か専門・得意分野は何かを確認する必要があります。

一口に税理士業務と言っても、相続や法人の決算など幅広く業務が存在します。そのため、どこに専門性を高くもっているのか、その分野の最新情報まで把握しているかを確認しましょう。

ポイント②相性

人と人のお付き合いになるため、優秀な税理士でもあう・あわないはあります。

「経営者の視点に寄り添ってくれるか」「コミュニケーションの頻度」などを見ながら自分が相談しやすそうか確認してみてください。

税理士の選び方について、詳しくはこちらの記事「税理士の選び方:法人・個人/融資や相続などのケース別」も参考にしてください。

税理士報酬はどう仕訳する?

税理士に依頼して支払った報酬、つまり費用は、決算や確定申告でどのように仕訳すればいいのでしょうか。

一般的には業務委託費、支払報酬料、顧問料などを使います。

業務委託費は一般的な外注費にあたる人材派遣に関する費用を処理するための勘定科目です。

支払報酬料は税理士などの士業の先生や、デザイナーなどの専門家に支払う費用を処理するための勘定科目です。

顧問料は特に外部の専門家に支払う顧問費用を処理するための勘定科目です。

 まとめ

この記事では、税理士の報酬の相場と、報酬に影響する要素についてお伝えしました。

報酬で比較する前に、ご自身の「属性(法人・個人事業主・個人)」、「相談する税の種類」「依頼内容(全部・一部)」を整理して、比較しやすくすることをおすすめします。

また、税理士を選ぶとき、報酬は一つの要素にすぎません。実績や相性も考えながらご自身にあう税理士を選びましょう。

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